どんな犬種でも純潔種である限りは、その犬種の理想像である基準(スタンダード)が規定されています。
当然ボクサーにもスタンダードがあり、このスタンダードを目標に、多くのボクサー愛好家が繁殖の歴史を積み上げて今日に至っています。
ボクサーのスタンダードは、1905年、原産国であるドイツで制定され、以降数回の修正の後、2008年に改正されたものが現在のものです。
スタンダードは一般的に文章で書かれ、故に各々の解釈に違いが生じたりしてこれを理解するのは難しいことです。
そこで確認しておきたいのが、いくら「基準」とはいえ、ボクサーは品物ではなく生物であり、内面的なものを含めてすべて一様に定められるものではなく、かなり柔軟性をもったものとして理解されるべきであるということです。
例えば、他の犬に比べて、ボクサーのタイプにはかなり個体差があり、これが認められねばならないということです。この点を理解した上で繁殖活動を行わないと、大きな過ちを起こしてしまう事にもなりかねません。
従って、スタンダードをより正しく理解するためには、スタンダードの「精神」というべきものを正しく理解しておく必要があります。
これは、例えば「日本国憲法」を理解しようとする時、その「精神」である「民主主義」について理解していないと、正しく理解できないことと同じです。
ボクサーのスタンダードの精神、それは何といってもボクサーが使役犬、作業犬であるという大原則です。この精神を踏み外しては、理想的なボクサーの作出は不可能であるといえるでしょう。
それでは、以下、ボクサーのスタンダードについて解説します。
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歴史概略
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ブラバント地方の小型のブレンバイザーが、ボクサーの直接の祖先と考えられています。
過去、ブレンバイザーの繁殖は猟師の手に委ねられており、犬たちは狩りの間、猟師をサポートしていました。
ブレンバイザーの任務は猟犬が仕掛けた獲物を捕らえ、猟師が到着して獲物にとどめを刺すまでしっかりとそれを保持することでした。
しっかり噛んで捕まえるためには、歯の間隔は広く、できるだけ広い顎を持つ必要があります。
このような特性を持つブレンバイザーがこの役割に最も適しており、当時は、この役割を果たすための能力だけが考慮されて繁殖されていました。
こうして、広い鼻口部と上を向いた鼻を持つ犬を作出する厳選した繁殖がなされてきました。
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(参考)ブレンバイザー
ブレンバイザー(Bullenbersser)は、かつてドイツで狩猟用、闘牛用に用いられていた絶滅犬種です。
大型のブレンバイザーはグレートデン、小型のブレンバイザー(『ブラバンター』あるいは『ボクセル』とも呼ばれていた)がボクサーの直接の先祖とされています。
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一般外貌
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ボクサーは、中型でなめらかな被毛を持ち、コンパクトでスクエアな構成にして強固な骨を持つ頑健な犬です。
筋肉は張りがあり、強く発達していて、外貌はガッチリしています。
動きは活発で、気品ある態度で力強い。
ボクサーは、不格好であってはならず、重くもなく、軽くもなく、貧弱に見えてもいけません。
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