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 ボクサーの課題


 1.これまでの課題

 どんな犬種にも、その大小に関わらず特有の課題があるものです。
私たちの愛するボクサーにも、愛好家にとって避けるlことができない2つの大きな課題がありました。

①白いボクサー

1つ目は、白いボクサーの存在です。

 過去、「全体の1/3以上」に白い毛色があるボクサーは、スタンダードでは認められておらず、犬籍登録(血統書の発行)も不可能であるため、これらのボクサーは生まれてすぐに「淘汰」されるのが大半でした。
しかし、動物愛護の観点から、ドイツボクサークラブでは2000年から正式に白や斑のボクサーを認めました。
血統書が発行されることになったのです。
白い色素が一部の難聴に関わっていることが判明しているため、繁殖こそ認められてないものの、今では白や斑のボクサーがショーや訓練競技で活躍しています。

 しかし、日本ではその後も白いボクサーの扱いは変わりませんでした。
淘汰は続いていましたし、一方では「白いボクサーは希少犬」として高額で売買するブリーダーもいました。
これに憂慮したTHE BOXERでは、サイト開設当初の1999年から白いボクサーについての正しい理解と各ケンネルクラブでの犬籍登録を促すための啓蒙活動に取り組みました。
その結果、JKCが2010年に白いボクサーの犬籍登録を開始。
PDでは大きく遅れて2023年にようやく犬籍登録を開始しました。

今では白いボクサーが淘汰されることはなく、ブリーダーの精神的負担も無くなったのではないかと思います。


②断尾と断耳

2つ目は、ボクサーの断耳、断尾の可否についてです。

過去のボクサーは、断耳、断尾されているのが当然のスタイルでしたし、それによって表現される凛とした表現がボクサーの魅力のひとつでもありました。
しかし、これについても動物愛護の観点から、ヨーロッパを中心にその正当性が問われるようになり、ドイツでは1987年より断耳を、1988年には断尾を禁止しました。

これを受けて、PDでは1989年から断耳を、2003年から断尾を任意とし、遅れてJKCでは2005年から任意としています。

ヨーロッパではドイツを中心とした西欧や、日本ではヨーロッパ系を中心としたPDのボクサー愛好家において、比較的ナチュラルな耳や尾の保存が進みましたが、東欧や米国、アジア諸国ではなかなか進まない状況の中、ついにFCIが決断。
2025年1月1日以降に産まれたボクサーについては、断尾、断耳されている場合、ショーに出陳できないこととし、これを受けて、FCI加盟ケネルクラブであるJKCもこのルールに沿うこととなりました。

 THE BOXERでは、1999年の開設当初から断耳、断尾のナチュナル化を啓蒙してきました。

断尾、断耳については、日本の多くのアメリカ系ボクサーファンに支持されてきたことでもあり、今後のボクサーファン層の変化は避けられないと想像します。

いづれにしても、1999年のTHE BOXER開設当初から啓蒙してきた課題は、このようにして解決されるに至りました。

過去の記事は、ボクサー犬種の発展の証として以下に保存しておこうと思います。

白いボクサーについて



 2.新たな課題

  「新たな課題」としていますが、実際は過去よりずっと存在する課題。
具体的には、ボクサーの健全性についての課題です。

 どんな犬種にも、その多少や大小に関わらず、その犬種にありがちな疾患、つまり好発病というものがあるものです。
そしてそれが遺伝的疾患であれば、ケンネルクラブの繁殖制度に基づくアセスメントによって減少させることも可能です。

ボクサーの原産国であるドイツボクサークラブでは、繁殖に用いる犬には3つの観点でアセスメントを義務付けており、ガイドラインに定められた数値をクリアしない犬については繁殖を禁止しています。
具体的には、以下の3点です。

①股関節(HD)
  
  股関節のX線画像を元に、その関節の弛みを検査機関でグレーディングし、「股関節形成不全」に関するアセスメントを実施します。
 日本では、2000年代前半に設立されたJAHD(特定非営利活動法人日本動物遺伝病ネットワーク)でグレーディングすることが可能で
 ボクサーでは2005年以降の検査結果が公開されています。(こちらに公開)

  THE BOXERでは2005年からこのスキームを利用したアセスメントを推奨しており、「仔犬紹介」のコーナーに掲載する条件として
 母犬のHD検査とその結果公開を必須としてきました。

 PD関西ボクサークラブでも同様に、繁殖する牝にはこのスキームを利用したアセスメントを必須としています。

 (参考)関西ボクサークラブBlog


②心臓疾患(Herz)
  
  心エコーで大動脈と肺動脈の血流速度を測定の上、検査機関でグレーディングし、「大動脈弁狭窄症」や「肺動脈弁狭窄症」などの  心疾患に関するアセスメントを実施します。
 日本では、公式にこれをグレーディングしてアセスメントする組織がありませんが、ドイツボクサークラブが設定しているガイドラインに
 基づき、心エコーで大動脈と肺動脈の血流を測ることができればグレーディングすることが可能になりました。
 これが可能になった2023年から、PD関西ボクサークラブでは心疾患のアセスメントを推奨しています。
 
 (参考)関西ボクサークラブBlog


③脊椎(Spondylosis)
  
  脊椎のX線画像を元に、その状態を検査機関でグレーディングし、「脊椎症」に関するアセスメントを実施します。
 脊椎についても、日本ではグレーディングしてアセスメントする組織がありません。
 ただし、獣医でなくてもX線画像で異常を発見することは可能です。
 しかしながら、グレーディングできない(つまり程度を測ることができない)ので、繁殖の参考にすることが困難です。


 日本のケネルクラブでは、こうした各犬種の好発遺伝病を減少させるために必要な繁殖制度、アセスメントが皆無に近く、多くの繁殖者が実施していないのが実情です。

THE BOXERでは、前述のとおりHDについて2005年から啓蒙と改善に取組んできましたが、今後更にHerzやSpondylosisについても推進していきたいと考えています。

以下、詳細について説明します。

HD(股関節形成不全)について 作成中
Herz(先天性心臓疾患)について 作成中
Spondylosisについて(脊椎症) 作成中



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